豆腐屋さんの話


オープンアトリエを開催していると、一般のお客様の他に、友人や知人が立ち寄ってくれることがある。
皆それぞれに仕事や用事があり、アトリエは東京の真ん中とは言えない場所にあるから、わざわざ足を運んでくださることが有り難い。
そもそも思い出してもらえただけでも嬉しい。
一昨日は尊敬する文筆家の方が来てくださった。
Oさんの文章は平易な言葉で、それでいて書く対象の本質を必ず撃ち抜く。
書くことは、よく見てよく聞いてよく読んでよく考えて理解し、それを言葉を使って紡ぐことだと繰り返し実感する。
当たり前のこととはいえ、やはりよくわからないことは書けない。
それでも、わかったような気がするくらいの段階で書いていると感じる文章が多いのも現実で、読む人の腑に落ちるには、どうしたってまずは書く人の腑に落ちていなければならないと思う。
これは、書くことだけでなく、もの作り全般に共通することではないかとも思う。
Oさんのお話は文章に負けず劣らず面白い。
飾らない小気味よい口調で、その内容からは、様々な物事や人に対して、好奇心いっぱいで感受性が大変に豊かなことが伝わってくる。
お聞きした話が心に残っている。
Oさんのご近所には格別の豆腐屋さんがあるのだという。
お土産にと考えてくださったがあいにく休みだったこと、朝早くに開店して、午後一時にはほとんど売り切れてしまうこと、午前の部には木綿と絹が中心で、午後になるとがんもどきや厚揚げが出てきて、それが翌朝に少しだけ残っていることもあるのだと教えてくれた。
確かに揚げ物なら日をまたいでも美味しくいただける。
賢い。
絹は特に絶品だから、何もつけずそのままで、もしくは塩を少し添えるくらいで、私はおかしくなったのかと思うほどスルスルと半丁くらい食べられてしまうのだという。
小さな間口の家族経営のお店で、よく売れるからといってたくさん作ったり、ましてや規模を大きくしようなどとは考えず、毎日真面目に作り、売り切る商売をしている。
小賢しさがないのよね、とOさん。
豆腐屋さんもOさんも清々しい。
品質を落とさず、無駄も出さず、自分たちがしっかり食べていくことができ、お客様にも喜んでもらえるように仕事をする。
こんな風にして、unefig.もやっていけたらいいなと心が晴れやかになりました。
オープンアトリエにお越しくださった皆さま、気に掛けてくださった皆さま、ありがとうございました。
今週末には宮崎へまいります!

photos by Hua Wang

◯gallery 上田島
2024.10.18(金)-20(日)
11:30-17:00
宮崎県宮崎市佐土原町上田島5834 DACOTA内
0985-89-4844
*期間中のランチやバー営業についてはインスタグラム @cotawakaでご確認ください。

@gallery_kamitazima
@cotawaka
@tsubaki_antiques
@____mulan_
@conoide_saruyama



2024.10.14